科学研究費補助金
ホーム > 科学研究費補助金

科学研究費補助金


聖マルティン大聖堂
(ブラチスラヴァ)

聖シテファン教会
(ブラチスラヴァ)

研究代表

(1) 基盤研究(B)、ジャコバン主義の再検討:「王のいる共和政」の国際比較研究

期間 平成28-31年度
経費 13,600千円
内容 継続中

(2) 基盤研究(C)、ハンガリー・ジャコバン主義における共和政思想の転換とその展開に関する研究

期間 平成25-27年度
経費 2,400千円
内容 本研究は、ハンガリー・ジャコバン主義が「王のいる共和政」思想から「王のいない共和政」思想へと転換する過程を解明した。つまりジャコバン主義者は、1793年夏にヨーゼフ主義の伝統に基づく「世襲王政の共和国」論がフランツ2世に拒否された結果、「王のいる共和政」論に深く失望した。同じ頃、フランスで急進的な人民主権を唱える1793年憲法が成立したほか、同年12月のトゥーロンの戦いでフランス共和派革命軍がナポレオンの活躍によって王党派に勝利した。こうした内外の形勢の変化を踏まえ、ハンガリー・ジャコバン主義者は1794年5月、フランス型の「王のいない共和政」論へと歩を進め急進化していくことになった。

(3)若手研究(B), ハンガリーにおける初期ジャコバン主義の生成と展開に関する研究

期間 平成23-24年度
経費 1,200千円
成果 「ハンガリー初期ジャコバン主義の「王のいる共和政」理論ー近代ヨーロッパ共和主義の多様性と共生の諸形態」 森原隆編『ヨーロッパ・「共生」の政治文化史』(成文堂、2013年予定)。
内容 特権諸身分が君主との間で国家権力を分有するような、中世後期ハンガリー王国における合意型の身分制的君主政は、ポーランドなどの他の東中欧諸国と同様、しばしば「共和政」と呼ばれる。この共和主義は、いわゆる近代の「王のいない共和政」と異なり、「王のいる共和政」に他ならなかった。この思想はフランス革命の余波のもとで大きな変質を被ることになる。

旧ハンガリー王国の後継国家の歴史研究、例えばマジャール史学のBenda Kálmán, A magyar jakobinusok iratai, Vol.I-III (Akadémiai Kiadó, Budapest, 1952-57); Benda Kálmán and Elek Judit (ed.), Vizsgálat Martinovics Ignác szászvári apát és társai ügyében (Magvető Könyvkiadó, Budapest, 1983)、スロヴァキア史学のŠtefan Kató, ‘Jakobínske hnutie v Uhorsku’, in Milan Pišút (ed.), Kapitoly z uhorských dejín (Veda, Bratislava, 1952); Ján Šimončič, Ohlasy Francúzskej revolúcie na Slovensku (Východoslovenské vydavateľstvo, Košice, 1982)、クロアチア史学のVaso Bogdanov, Jakobinska zavjera Ignjata Martinovića (Novinarsko izdavacko poduzecé, Zagreb, 1960)などは、後期ジャコバン主義思想(1793-95年)の理論的発展の最終段階にあたる「王のいない共和政」論、すなわち、各民族自治に基づく「ハンガリー連邦共和国」構想を根拠に、後期の思想を民族史観の上に立つ国民史の叙述のなかで高く評価した。この結果、とりわけ前期ジャコバン主義(1792-93年)の「王のいる共和政」論は社会主義期から現在までの時期を通してほぼ等閑視されてきたといってよい。

 これに対して本研究は、平成23-24年度科学研究費補助金・若手研究(B)「ハンガリーにおける初期ジャコバン主義の生成と展開に関する研究」を通じて、以下のように「王のいる共和政」論の諸相を明らかにした。前期ジャコバン主義は、世襲君主の強権により啓蒙改革を断行するという近世ハプスブルク朝のヨーゼフ主義の土壌に、イギリスの制限君主制およびフランス・ジャコバン主義の共和思想が融合するかたちで出現した。これは、かつて「選挙王政の共和国」を実現していた中世ハンガリー王国のいわゆる共和主義的伝統を尊重しつつも、ハプスブルク朝による封建制および身分制の緩和ないしは撤廃をめざす啓蒙改革を補強するために、「世襲王政の共和国」論を構築するに至ったのである。つまり本研究は、従来の近代ヨーロッパ共和政史研究に対して、「王のいる共和政」論という新たな範疇の存在を提起するとともに、それには「選挙王政の共和国」と「世襲王政の共和国」という二つの政体・国家思想が存在したことを明らかにした。

(4)学術図書, 近代スロヴァキア国民形成思想史研究

期間 平成21年度
経費 1,200千円
成果 『近代スロヴァキア国民形成思想史研究―「歴史なき民」の近代国民法人説』(刀水書房、2009年)456頁。

(5)特別研究員奨励費, 近代スロヴァキア国民形成史研究

期間 平成16年度
経費 1,200千円
成果 「「王国の王冠」「王国の共同体」「王国の身体」ーハンガリーにおけるレスプブリカ再考」 小倉欣一編『近世ヨーロッパの東と西ー共和政の理念と現実』(山川出版社、2004年)、45-64頁。Slovenská politická myšlienka počas revolúcie v roku 1848 – Proces premeny slovenského národa na štátoprávny subjekt na základe tradičných korporatívnych princípov(Acta historica neosoliensia, 9, 2006) s. 48-64.

国会議事堂
(ブダペシュト)

旧市庁舎
(ブラチスラヴァ)

研究分担

工事中

新着情報&ブログ

過去の記事